染と織地域別辞典

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糸目友禅[手描友禅](いとめゆうぜん)

産 地

京都府京都市

特 徴

多彩で華麗な絵画的な文様染で、手描友禅、本友禅ともいわれる。糊置防染法による文様染のひとつで、染の着物の代表格。振袖、留袖、訪問着などに用いられる。
「糸目」の名称は、染めあがったときに模様の輪郭が白く残り、それが糸を引いたように見えるところからきている。

変 遷

京都では古くから麻の漂白や植物染などが行われていたが、染色技術が飛躍的に発達したのは、奈良時代に中国や朝鮮との交流が深まってからである。
友禅染の源は、天平の三纈(頬纈、纐纈、臈纈)のうちの臈纈(ロウケツ)染だといわれる。
「ロウケツ」はインドで起こり、中国経由で日本に伝えられたという。奈良時代には、溶かした蜜蝋を布に押しつけて防染し、染色を終えたあとで蝋をとり除き仕上げたようである。
ロウケツ染自体は、その後、平安時代には途絶えてしまったが、室町時代末期に和更紗が生産されると、ロウ防染法による紋様染が復活した。また、江戸時代の寛永年間(一六二四~一六四四)の頃には楊子糊や筒糊を用いた茶屋染(四季の風物を藍一色で染めたもの)が生産されるようになった。
友禅染は元禄年間(一六八八~一七〇四)に京都の扇面絵師、宮崎友禅斎によって創始されたといわれる自由な紋様表現の多彩色模様染で、友禅染には奈良時代の臈纈染、室町時代の更紗染、辻が花染、江戸時代の茶屋染などの染色技術がとり入れられている。
絹だけではなく木綿にも染められ大衆化して、友禅染は流行した。

染色法

糸目友禅の工程は次の通りである。
*意匠(図案)の作成。
*地のし   白生地の布目を整える。
*墨打ち   鋏を入れる部分や、袖山、肩山となる部分に墨で印をつける。
*仮絵羽   仮仕立てをする。
*下絵    青花(ムラサキツユクサの花汁)で下絵を描く。
*伸子張り  仮仕立てをとき、伸子を張って布地をぴんと張る。
*糸目糊   下絵の模様の輪郭に糸目糊(防染糊)を筒引きする。
*地入れ   染料のつきがよくなるように、豆汁を塗る。
*挿友禅   模様の部分に筆や刷毛で染料を塗る。
*蒸し    蒸し箱に入れ、高温で蒸し染料を定着させる。
*伏糊    地染の防染のため、染色した模様のうえに糊を置く。
*地染    大刷毛に染料を含ませ引染し、もう一度蒸す。
*水洗い   防染糊を洗い落とす。
*湯のし   生地のしわをとり、幅を整える。
*印金、刺繍 金箔や刺繍で装飾する。
*上げ絵羽  仮仕立てをし、模様がよくわかるようにして完成させる。

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