染と織地域別辞典

English page

益子木綿[真岡木綿](ましこもめん)

産 地

栃木県芳賀郡益子町

特 徴

真岡木綿の伝統をうけ継いで植物染料の藍で染め、手紡ぎ、手織で仕上げる木綿織物。先染の縞物と、白木綿を正藍で染めた型染がある。
藍以外の色も植物染をし、色染には紅花、茜、紫根、蘇枋を使用する。

用 途

浴衣地、テーブルセンター、暖簾。

変 遷

◆真岡木綿と益子木綿◆
益子から真岡にかけては綿の栽培地だったため、江戸後期から木綿が織られ真岡木綿として販売された。江戸時代を代表する白木綿であった。綿花は、鬼怒川から水戸のあいだで栽培されたものを用いた。
真岡を中心として、益子町から茨城県下館地方までの地域で織られ、それが真岡の木綿問屋に買い集められて、そこで晒されて全国各地に出荷されたため「真岡木綿」の名がある。
地理的に近い結城紬の影響をうけ、綿を手紡ぎ、手織したので、繊細で絹のような地合いの織物だったという。また、綿を紡ぐ際に「ブンブン」と呼ばれる糸車を使って細い手紡ぎ糸をとっていた。
江戸末期に全盛期を迎え、文化年間(一八〇四~一八一八)の頃には一年間でおよそ四十万反を織りだしたという。
しかし、明治時代になって輸入紡績糸を用いた木綿織物が尾州地方で織られ始めると急速に衰退し、明治十四、五年には年間の生産量がわずか一万五千反にまで落ち込み、昭和初期にはまったく生産されなくなった。現在の益子木綿は、真岡木綿と藍染の伝統を守るために、二百年の歴史をもつ紺屋の日下田博氏が昭和三五年に始めたものである。
また、現在浴衣地などに用いられている「岡木綿」は、真岡木綿に似せてつくり出された機械織の木綿のことである。

益子木綿[真岡木綿](ましこもめん)画像01 益子木綿[真岡木綿](ましこもめん)画像02

染色法

*藍は阿波藍や地藍を用い、石灰で藍建てする。
*色染には紅花、茜、紫根、蘇枋を使用する。