染と織地域別辞典

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京鹿子(きょうかのこ)

産 地

京都府京都市

特 徴

手絞の鹿子絞で、絞染の最高級品。
模様が、子鹿の背の白い斑点に似ていることからこの名がある。

変 遷

絞染は中国から渡来したといわれる歴史のある技法で、天平の三纈(頬纈、纐纈、臈纈)のうちの纐纈が源流である。飛鳥時代(五九二~七一〇)の遺物の絞染布が法隆寺に、奈良時代(七一〇~七八四)の遺物が正倉院に見られる。
時代を経て、絞染は室町時代末期に辻が花染を生みだし、江戸時代には全盛期を迎えた。精巧な疋田鹿子が生まれ、着尺地だけでなく帯、襦袢などに広く用いられるようになった。江戸幕府は、総鹿子の華美贅沢さを理由に何度も奢侈禁止令を出したが、生産は途絶えず現在に至っている。
帯揚げに鹿子絞が用いられるようになったのは戦後である。
現在は人手不足のため、絞くくりの大部分は韓国で行われている。

京鹿子(きょうかのこ)画像01 京鹿子(きょうかのこ)画像02

染色法

*型紙を白生地にあて、青花(ムラサキツユクサの花汁)を用いて点や線で下絵を描く。
*絞る部分をひとつひとつ針でつまみ、絹糸で数回巻いて絞る。(布をつまむ分量、糸の巻数によって疋田鹿子、京極鹿子、一目絞などに分かれる)。
*絞り目は、布一尺幅に四十五粒から七十粒がふつうである。兵庫帯一本については八千から九千粒、総絞着尺ならば一反に二十五万粒も絞られる。
*染色は浸染で行い、乾燥後、糸とき、湯のしをして仕上げる。